オールドサリーガウン

初めてサリー布に出会ったのはかれこれ10年前のネパール・カトマンズ。

長く住んでいる友人が教えてくれて「これは絶対集めた方がいい!」と言ってくれたのだけど、当時は活用法がうまく思いつかなかった。

それから何年も経って、去年ようやくガウンを作ったけど、布選びがうまくいかず、数枚しかできなかった。

去年の末にまたネパールへ行き、気合いを入れて何千枚のサリーの山に登り、うんうんと唸り、お店のオヤジに鋭い目で見つめられながら暗いホコリ舞う倉庫の中で選んだ80枚。

お店にリキシャーのおじいさんを呼びほんのすぐそこのカーゴ会社まで運んでもらうのだけど、必死に自転車をこぐ様子があんまりにも大変そうで、細い痩せた腕で布の束を担いで2階のオフィスまで運んでもらうとついついチップを弾んでしまい、私の1回の配達でおじいさんは日給分くらい稼いでいるような気がする。

おじいさんもそれを分かっていて、いくら?と聞いても「your price」としか答えない。

そこからチェンマイに送って、チェンマイの工場で洗われ、2月のチェンマイでs仕分けしてサンプル作って、サンプル直して、完成した45枚ちょっと。

サリーの生地は1枚の布を体に巻きつけて着るため5mあって、その端と端、要は巻きつけた時に表に見える部分に美しい模様がある。

けれど布選びの時は5mをいちいち広げて見ることなどできず、風呂敷にぎゅうぎゅうに包まれた布を引っ張り出し、端っこの40cmほどの模様と手触りでどんどん決めるしかない。

80枚選んでも、広げて見ると切れていたり、大きな穴があったり、洗っただけでボロボロになったり、5mの端と端にしか模様がなく残りは無地だったり、前回はこれでうまくいかなかったけれど、今回もまだまだ。

とても良いシルク生地は触ってわかるようになってきたものの、シルクに限っては古くなるとビリビリと裂けてしまう。

最近の化繊(ナイロンやポリエステル混)のものは、ものすごく丈夫だけれど、肌触りが違う…サリーに関してはまだまだ。

次こそはうまくもっと選ぶぞ、と思った途端にコロナで、いつ行けるかわからない(特にネパールは)となるとよりいっそう愛おしい。

そんな物語のあるオールドサリーのガウンたち、ぜひ見に来て、シンデレラ的1枚を見つけてください!